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「転職で得られるメリットを知りたい」
「逆に、転職で発生するデメリットは?」
「企業規模ごとのメリットはどこが違うのか知りたい」
このような疑問を持つ人は多いのではないでしょうか。転職はキャリアプランやライフステージを変化させる大きな決断のため、事前にメリットとデメリットを把握したうえで進めたい方が多いと思います。
そこで、本記事では転職のメリット・デメリット、企業規模ごとのメリット・デメリット、転職を成功させるポイントなどについて解説します。メリット・デメリットを理解すれば、納得できる転職活動の助けとなるでしょう。転職で悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
転職のメリット
現職に不満があったりキャリアアップを意識したりする際に、転職を考える人は多いでしょう。転職は勇気がいる決断ですが、新しい環境に身を置くことで、以下のメリットを得られます。
- 年収が上がる可能性がある
- キャリアアップを目指せる
- 新しい人間関係を築ける
- 労働環境を選べる
順番にチェックしていきましょう。
年収が上がる可能性がある
転職によって、年収が上がる可能性があるのは大きなメリットのひとつです。必ずしも上がるとは限りませんが、給与水準や賞与が高い企業や成果を評価されやすい企業の場合は、年収増加が期待できます。
厚生労働省の調査によると、転職した方のうち39.0%の賃金が増加している結果が出ています。
企業ごとに年収や待遇は異なるため、現職の経験を活かした転職や、大手企業への転職の場合は年収増加の可能性は十分に考えられるでしょう。
キャリアアップを目指せる
キャリアアップを目指せるのも、転職で得られるメリットです。前職の経験や実績を土台にして、新たな業務を覚えれば仕事の幅が広がり、キャリアアップ・スキルアップを目指せます。
キャリアアップすれば、さらに以下のメリットを期待できます。
- 年収増加の可能性
- 新たな目標ができる
- 新たな環境が刺激になる
現職でキャリアアップを目指す道もありますが、難しい場合は思い切って転職を視野に入れてみるとよいでしょう。新たなスキルを身につければ、さらなるキャリアアップが望めます。
新しい人間関係を築ける
転職によって人間関係がリセットされ、新しい上司や同僚と一から関係性を築けます。たとえば、現職で威圧的な上司がいたり、チームに活気や向上心がなかったりしても、転職すれば理想の上司や士気の高いチームに巡り合えるかもしれません。
新しい人間関係を築くことで、以下のメリットを得られる可能性があります。
- 新しいインスピレーションを得られる
- 業務を円滑に回せる
- 現職のマイナスな人事評価がリセットできる
新たな人間関係の構築は、特に、現職の人間関係で悩んでいる方には大きなメリットといえるでしょう。
労働環境を選べる
転職によるメリットには、労働環境を選べる点があります。たとえば、以下の条件があります。
- フレックス制度がある
- テレワークを導入している
- 残業が月10時間以下
- 福利厚生が手厚い
- 男性の育休取得率が高い
「残業が多い」、「社風が合わなかった」など、自分に合わない労働環境や社風はモチベーションの低下や心身の健康にも影響を及ぼすため、労働環境は重要なポイントです。
ワークライフバランスが整えばストレスも減り、本来のパフォーマンスを発揮しやすくなります。社風や福利厚生も含め、どのような条件で働きたいのかを明確にすると、転職によって労働環境が選べるメリットは大きくなるでしょう。
転職のデメリット
転職はメリットが大きく感じますが、収入やキャリアプランに関わる以下のデメリットがあります。
- 収入が減る可能性がある
- 退職金や年金が少なくなる可能性がある
- 転職を繰り返しすぎると採用されにくくなる
- 本業に支障が出てしまう場合がある
それぞれチェックし、デメリットを把握したうえで転職を決断しましょう。
収入が減る可能性がある
転職すると収入が減る可能性があります。理由としては、以下4つが考えられます。
- 一度退職する場合は無職になるため、収入が得られない
- 転職後、信頼や実績を評価されるまでに時間を要する
- 大手企業から中小企業への転職
- 未経験の業界・職種への転職
前述した厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」では、転職後に収入が減った割合は40.1%となっています。
転職する企業や背景によっては、収入が下がる可能性がある点に留意しておきましょう。一時的な無収入や収入の減少に備え、2〜3か月分の貯金をしておくと安心です。
退職金や年金が少なくなる可能性がある
転職する年齢や企業によっては、退職金や年金が少なくなる可能性があります。理由は以下のとおりです。
- 退職金は勤続年数によって変わるため
- 退職金制度がない企業もある
- 年金は加入期間によって変わるため
実際、厚生労働省の調査によると以下の表の通り、勤続年数に比例して退職時の給付額が変化していることが分かります。
勤続年数 |
給付額(大学・大学院卒) |
20~24年 |
1,021万円 |
25~29年 |
1,559万円 |
30~34年 |
1,891万円 |
35年以上 |
2,037万円 |
このことから40代で転職した場合、20代で転職するよりも退職金の額は下がってしまう可能性が高いことが読み取れます。ただし退職金制度や年金の内容は企業ごとに異なるため、企業研究の際に調べておくとよいでしょう。
転職を繰り返しすぎると採用されにくくなる
複数回の転職を繰り返すと、採用されにくくなるデメリットが発生します。なぜなら、以下を懸念される恐れがあるためです。
- スキルが身についていない
- 忍耐力や継続力がない
- ストレス耐性がない
- 帰属意識がない
一般的には、転職回数が多いほど不利にはたらきます。何度も転職を繰り返さなくて済むよう、企業研究をしたりキャリアプランを明確にしたりするのが重要です。
ただし、キャリアアップのためやライフステージの変化など、目的意識を持った転職であれば不利にはたらかないケースもあるため、面接時に理由や背景を伝えましょう。
ほかにも、大企業は待遇面が手厚いため、ワークライフバランスの充実が期待できます。将来性や安定性、福利厚生の充実などから、長く働きたい人にとっては大きなメリットになるでしょう。
本業に支障が出てしまう場合がある
転職は自己分析・企業研究・履歴書作成・面接・試験など時間・労力・体力もかかるため、仕事を続けながら転職活動をするのは、心身ともに負担がかかります。
また、スケジュールや人員調整など、今の職場に迷惑をかける可能性もあるでしょう。
さらには、転職活動をするにあたって、本業に支障が出る場合があります。本業と並行して以下を行なわなければいけないため、負担が大きくなりがちです。
- 自己分析
- 企業研究
- 履歴書作成
- 面接・試験
大企業へ転職するメリット・デメリット
大企業に明確な定義はありませんが、従業員数と資本金で判断し、規模の大きい企業を「大企業」としています。ここでは、中小企業やベンチャー企業から、大企業に転職する際のメリットとデメリットを解説します。
大手企業へ転職するメリット
大企業は中小企業やベンチャー企業に比べて、従業員数や事業規模、資本金に関して大きく上回っており、誰もが知る有名企業も多くあります。
そのため、大企業へ転職すると以下のようなメリットを得られます。
- 給与や福利厚生が充実している
- ネームバリューがあり、社会的信用度が高い
- 教育制度が充実しており、スキルアップの機会が多い
- 仕事の幅が広く、さまざまな経験を積める
- 倒産の可能性が低い
- 長く働ける
大企業は経営が安定しているため、高い収入が見込めるでしょう。厚生労働省の調査からも、中小企業と比較して大企業の方が賃金の高い傾向にあることがわかっています。
企業規模 |
月収 |
大企業 |
348.3千円 |
中企業 |
303.0千円 |
小企業 |
284.5千円 |
ほかにも、大企業は待遇面が手厚いため、ワークライフバランスの充実が期待できます。将来性や安定性、福利厚生の充実などから、長く働きたい人にとっては大きなメリットになるでしょう。
大手企業へ転職するデメリット
メリットが多くある大企業ですが、一方で転職した際には以下のデメリットも挙げられます。
- 採用の難易度が高い
- 仕事のスピード感が遅い場合がある
- 異動や転勤の可能性が高い
- 社風や企業文化に合わない場合がある
- 個人の裁量が小さい場合がある
また、中小企業庁の調査によると、大企業は全体のわずか0.5%(製造業)しかないため競争率が高く、入社自体が難しい点を念頭に置いておきましょう。(引用元:中小企業庁「令和2年度(2020年度)の中小企業の動向」)
中小企業へ転職するメリット・デメリット
なお、中小企業庁の定める中小企業基本法では「従業員が300人以下または資本金が3億円以下の企業」を中小企業としています(※製造業その他の場合)。
中小企業へ転職するメリット
中小企業へ転職すると、以下のようなメリットを得られます。
- 社長や役員との距離が近く、自分のアイデアやスキルを提案しやすい
- 仕事の幅が広く、裁量権が大きい場合がある
- 仕事のスピード感が速い
- 異動や転勤の可能性が低い
- ベンチャー企業に比べると安定している
中小企業は、大企業に比べて事業規模が小さく従業員数も少ないため、個人の裁量や力量にかかる部分が大きくなる傾向です。そのため、幅広い知識の吸収とスキルアップが望めるでしょう。
また、全国展開していない企業であれば転勤がないため、将来設計も立てやすくなります。
デメリット
一方で中小企業へ転職する場合は、以下のデメリットがある点を考慮しておきましょう。
- ネームバリューが低い
- 教育制度が充実していない場合がある
- 仕事量が多く、残業が多い場合がある
- 会社の安定性や将来性が不安定になりがち
- 大企業に比べて、給与や福利厚生が劣る
大企業に比べると安定性は低く、収入や福利厚生、教育制度が劣るほか、業績によってはボーナスがカットされる可能性もあります。
中小企業は数が圧倒的に多く、企業ごとに労働条件や待遇は異なるため、事前にチェックしておくことが重要です。
ベンチャー企業へ転職するメリット・デメリット
大手企業や中小企業から、ベンチャー企業に転職する際のメリットとデメリットを解説します。なお、ベンチャー企業は明確に定義づけされておらず、一般的には「新しいビジネスを展開する企業」を指します。
ベンチャー企業へ転職するメリット
ベンチャー企業に転職する際には、以下のようなメリットが期待できます。
- 裁量権が大きく、自分のアイデアを実現しやすい
- 仕事のスピード感が速く、成長できる
- 新しいことに挑戦する機会が多い
- 働き方の自由度が高い
- 平均年齢が若く、活気がある
ベンチャー企業は、少数精鋭で幅広い業務をこなす必要があるため早くスキルアップでき、能力が認められれば若いうちから責任のある仕事を任せてもらえるのが特徴です。自分の力を試したい方や新しいことに挑戦したい方にとっては大きなメリットとなるでしょう。
デメリット
一方でベンチャー企業は、大企業や中小企業に比べて事業規模と従業員数が劣るため、転職した際には以下のデメリットが発生します。
- 個人の業務量が多く、覚えることが多い
- 残業が多い恐れがある
- 会社の安定性や将来性が安定していない
- 社風や企業文化が合わない可能性がある
さらに、日経ビジネスによると、ベンチャー企業の生存率は5年後で15.0%、10年後で6.3%、20年後で0.3%となっており、長く存続させるのが難しい点が懸念されます。(引用元:日経ビジネス『「創業20年後の生存率0.3%」を乗り越えるには』)
転職を成功させるためのポイント
ここでは、転職を成功させるポイントを解説します。時間や手間をかけて転職しても、必ずしも成功するとは限りません。実際に転職してみたら、思い描いていた理想とのギャップを感じる可能性もあります。
転職後に「前職の方がよかった」と後悔しないためにも、以下にしっかりと目を通しておきましょう。
- 転職の目的を明確にする
- 市場価値を理解する
- 企業の研究を徹底する
転職の目的を明確にする
志望する企業を絞る前に、まずは「なぜ転職したいのか」、「何を実現させたいのか」など、転職の目的を明確にする必要があります。たとえば、以下の目的が挙げられます。
- 年収を上げて生活を豊かにしたい
- 経験を活かしてスキルアップしたい
- 新しい職種に挑戦したい
- ワークライフバランスを保ちたい
- 風通しのよい社風で働きたい
目的が明確になると、おのずと転職先に求める条件も明確になるため、志望する企業を選びやすくなります。目的が複数ある場合は優先順位をつけ、転職先の企業で実現可能かどうかを判断しましょう。
市場価値を理解する
自分の市場価値を理解しておくのも重要なポイントです。市場価値は、転職市場でどれほどの価値がある人材なのかを企業側から判断する基準を指します。
たとえば、以下の要素があれば市場価値は高まるでしょう。
- 知識や保有資格などのスキル
- 前職で積み上げた経験
- 成し遂げた実績
- 転職先で必要な専門性
市場価値を理解すれば自分の価値を活かせる企業を絞れるため、転職活動を効率的に進められるメリットがあります。
さらに、自分の市場価値を正しく把握することで、面接時に「転職後に発揮できる力があるか」、「どのように企業に貢献できるのか」を企業目線に立ってアピールできます。
企業の研究を徹底する
転職後に後悔しないためにも、企業研究は欠かせません。企業研究の際には、3Cと呼ばれる以下の項目を徹底的に調べましょう。
自社(Company) |
・企業理念 |
顧客(Customer) |
・ニーズ |
競合(Competitor) |
・競合企業名 |
企業研究を徹底すると、面接時にスムーズに受け答えができたり転職後のミスマッチを防げたりするため、必ず行いましょう。