目次
鋳物「いもの」とは金属をとかし、型へ流し込む技術です。
日本は、鋳物生産量が世界上位の国です。
古くから鋳物製品をつくる工場が数多くあります。
本記事では身近な金属製品をつくる鋳物工場の…
- 仕事内容
- 代表的な鋳造法と技術
- 未経験で働けるか
上記を解説します。
鋳物工場は溶かした金属から製品を作る工場
鋳物工場では、製品が鋳造されています。鋳造とは、高温でとかした金属を型へ流し込み、冷やし固める工程です。
近年は、地球温暖化や資源の枯渇などの環境問題やサステナビリティ(持続可能性)な社会への取り組みが注目されています。
身近な自動車部品、調理器具や家電は、すべて鋳物製品
鋳物製品は、私たちの身近にあり、さまざまな場面で生活を支えています。
以下は身の回りで使われている鋳物製品の一例です。
- 自動車エンジンの部品
- 鉄鍋、フライパンといった調理器具
- 家電
- 水道の蛇口
- マンホールの蓋
- 橋
- フェンス
国内の自動車、建設、エネルギー設備といった産業分野で鋳物製品の需要が続いています。鋳物工場は、将来性がある職業のひとつといえるでしょう。
鋳物製品の特徴とメリット
鋳物製品の特徴は、複雑な形をした金属を短期間に大量生産できることです。自由に形をつくりやすく、強度と量産性を両立できます。
作業者には、特殊技能や技術、慎重な姿勢と徹底的な安全管理、チームワークや体調管理が求められます。
メリットは、複雑な形をした部品を一度の工程で完成できる点です。加工にかかるコストを抑え、精度の高い製品をつくれます。
鋳物工場で行う主な仕事
鋳物工場の年収は、約382万〜501万円です。製造業のなかでは、高収入の部類に入ります。
鋳物工場へ就職すると特殊技能や技術、知識が必要とされます。
経験や習得スキルによって、割り振られる仕事も変化するのです。
鋳物工場で行われている仕事内容の大まかな流れを紹介します。
鋳込み作業
鋳込みとは、溶かした金属を正確に型へ注ぎ込み、成形する作業です。
作業者は、炉で溶かされた金属の温度を確認しながら適切な速度・角度で溶けた金属を型へ流し込むのです。高温になった液体金属を扱うので、耐熱手袋、防護服の着用、安全規定の遵守が欠かせません。
型枠外し作業
型枠外しは、冷えて固まった鋳物を型から取り出す作業です。
砂型では振動装置やエアブロー(圧縮された空気をノズルから一気に噴射する機械)で砂を除去し、金型では専用の機械や工具で開閉を行う点が特徴です。
型取りされた形通りか、欠けがないか、細心の注意を払って確認します。欠陥や不良を見つけることで、後の工程での修正や品質管理の改善につながります。
混練機オペレーター作業
混練機オペレータは、鋳物に使う砂や結合剤を混ぜ、型づくりに適した型砂を作る作業です。
配合を間違うと、鋳物の寸法精度や表面の仕上がりに悪影響が出ます。オペレーターでは材料の特性を理解する力が求められる仕事です。混練機の運転状況を監視し、状況によって調整します。すると鋳造に適した型砂を安定供給できるのです。
仕上げ・検査・出荷
鋳物製品は鋳込み・型枠外しの後に、仕上げや検査、出荷作業を行って完成です。
仕上げでは、バリ取りや研磨で製品の外観を整えます。検査では寸法や欠けを確認するのです。その後、品質基準を満たした製品だけ出荷されます。正確さと丁寧さが求められる重要な仕事です。
鋳物工場で行う代表的な9つの鋳造方法
鋳物工場では…
- 玉掛け技能講習
- クレーン運転士
- フォークリフト運転技能講習
上記のような資格を取得していく過程で昇給や昇格ができます。資格を取得するだけでなく、日々の業務で特殊技能や技術を身につけていくことにより、仕事の幅も増えていくのです。
鋳物工場でよく使われている9つの鋳造方法を紹介します。
1. 砂型鋳造法
砂型鋳造法は、古くからある方法です。金属や形状に対応しやすい点が特徴です。
大型製品から小型部品まで幅広く対応できます。小ロット生産や自由度の高い形の製品をつくるのに向いています。
2. 重力金型鋳造法
重力金型鋳造法は、あらかじめ作られた金型にtとかした金属を流し込む方法です。
金型の精度が高く量産に向いています。ほかの鋳造方法よりも製品の表面がきれいに仕上がる点がメリットです。金型を繰り返し使えるので、大量生産にも向いています。
3. 低圧鋳造法
低圧鋳造法は、とかした金属に低い圧力をかけ、型へ流し込む方法です。
金属の流れが安定し、気泡やかたよりが少なくなります。そのため品質が均一になりやすいです。薄肉(厚みが紙のように薄い板、あるいはパイプ)製品でも安定して成形しやすいため、自動車や家電の精密部品などに活用されています。
4. 高圧鋳造法
高圧鋳造法は、溶融金属を高圧で固める方法です。
複雑な形をした薄肉製品を、短時間で大量生産できます。
5. ダイカスト法
ダイカスト法は、高圧鋳造法の中でも代表的な手法のひとつです。
アルミや亜鉛など融点の低い金属に用いられることが多いです。自動車のエンジン部品や家電製品など、幅広い領域で使われる鋳造法です。薄肉で精密な部品を効率良く量産できます。
6. ロストワックス精密鋳造法
ロストワックス精密鋳造法は、ワックス(ロウ)で作った型の周りをセラミックや石膏などで覆ったものです。とけたワックスを除去してできた空洞へ金属を流し込みます。
複雑な形状ができ、寸法精度も高いため、航空機や医療機器の部品などで活用されています。
7. 遠心鋳造法
遠心鋳造法は、回転による遠心力を利用して金属を型の外周部分に押しつける方法です。
パイプや水道管などの円筒形をした製品に適しているので、内壁が滑らかな部品を簡単に製作できます。
8. 連続鋳造法
連続鋳造法は、とかした金属を連続的に型へ送り込みながら冷やし、固めます。固まった金属から引き抜いていく鋳造方法です。
棒材や板材などの長い物体の大量生産に向いています。鋼板や鋼線などの素材製造でも広く採用されている鋳造法です。材料の損失が少なく、生産効率に優れています。
9. 消失模型鋳造法
消失模型鋳造法は、発泡スチロールなどの発泡材で作った模型を砂型で埋め、とかした金属を注入する方法です。
発泡材が金属の熱で消えてなくなるので、複雑な形でも型崩れを起こしにくくなります。余分な分割が必要ないので、部品を一体で鋳造できます。工程の削減や効率重視の製造につながります。
鋳物以外の3つの金属加工技術
金属加工には鋳造のほかにもあります。
製品の機能や用途、製造コストなどに応じて、最適な加工技術が使いわけられているのです。主要な金属加工技術を3つ紹介します。
1.鍛造
鍛造は、金属に強い圧力や衝撃を加えて成形する加工方法です。
金属組織は、鍛えると強度や耐久性が上がります。鍛造した金属は、高い強度が求められる自動車のクランクシャフトや航空機の重要部品に用いられるのです。
2.切削
切削は、旋盤やフライス盤といった工作機械を使います。金属の不要部分を削り取り、設計した形へ仕上げるのです。
主に最終調整や高精度部品の製作で利用され、少量多品種の部品製造に適しています。
3.溶接・溶断
溶接・溶断を行う溶接工には、熟練の技術と経験が求められます。
溶接は、複数の金属部品を接合する技術です。溶断は不要部分を熱で切り離す加工になります。
自動車のボディや建築構造といった組立工程で重要な役割を持ちます。製品の強度や見た目の仕上がりに、大きく影響する分野です。
鋳物工場は性別関係なく未経験でも働ける
IT技術の進化による機械の自動化や労働環境の改善により性別を問わず、未経験の人でも活躍できる職場が増えています。
未経験は安全教育や基本作業研修を行います。その後、以下のような専門知識の必要ない補助作業や検査業務から始めていくのです。
- 型の清掃
- 製品の仕上げ
- 梱包
先輩作業員のサポートを受け、少しずつ技能を身につけられる職場も多いです。体力面で不安のある人が負担を軽減できる補助機器(リフト・アシストスーツなど)を導入している工場もあります。
近年は育児休暇や短時間勤務制度を導入する企業も増え、ライフスタイルに合わせた働き方が可能です。
鋳物工場の求人のさがし方
鋳物工場で技術を修得まで時間がかかります。
しかしながら経験を積むことで専門性が高まり、安定した収入を得られるのが鋳物工場です。
うまく組み合わせて、自分に合った環境で鋳物の仕事に挑戦してみましょう。
ハローワークや工場・製造業に特化した求人サイトを利用
中小企業の鋳物工場は、インターネットに求人を出していないことが多くあります。
しかし公的機関であるハローワークなら求人が見つかりやすいです。直接企業とやり取りをして、職場環境や応募条件を詳しく相談できます。
また工場や製造業に特化した求人サイトでは、職種や勤務条件、勤務地といった情報を細かく絞り込めます。短時間で自分に合った求人を見つけやすいです。
なかには工場見学が可能な求人もあります。
【関連記事】:ハローワーク応募の流れを徹底解説|登録から面接成功までの完全ガイド
知り合いや友人、家族や親戚のつてを使う
すでに鋳物工場で働いている、身近な人に紹介してもらいましょう。
求人サイトには書かれていない職場の雰囲気や働き方を知ることができます。
信頼できる人間の現場の声を参考にすれば、仕事のミスマッチが発生しにくいです。
また実際に現場で働いている人間からの紹介だと企業側も…
- 採用までの過程をスムーズに進められる
- 面接前にお互いの期待値を調整しやすい
上記のような傾向があります。
近場の鋳物工場へ直接訪問
住んでいる場所から比較的近い鋳物工場へ向かい、求人を確認する方法も効果的です。
規模の小さい工場では求人を公開していない場合があります。
面接前に一度現場を見て、作業環境や雰囲気を確かめておけば、自分に合っている職場か判断しやすいです。
よくある質問
Q1.「鋳物工場」の読み方は?
A1.鋳物工場は「いものこうじょう」と読みます。鋳物は「いもの」と読み、金属を溶かして型に流し込む加工技術を指します。
Q2.鋳物工の平均年収はいくら?
企業規模や経験年数、保有資格などによって変動しますが、製造業の中では比較的高水準です。高温の金属を扱うため特殊な技能や安全管理が求められ、技術力の高い人材が重視される傾向にあります。
参照:給料BANK
Q3.鋳物工場は危険ですか?
A3.鋳物工場は高温の金属を扱うため、火傷や転倒などのリスクはあります。
ただし、現在では安全装備(耐熱服・手袋・ヘルメット)の支給や、作業マニュアルの徹底、安全教育が行われており、事故は大幅に減少しています。正しい知識と装備を身につければ、危険を最小限に抑えて働くことが可能です。
【関連記事】:工場の5Sとは?実施する目的やメリットを詳しく解説
Q4.未経験でも働けますか?
A4.はい。鋳物工場では、未経験者を対象にした研修制度やサポート体制を整えている企業が多くあります。
最初は補助作業や検査などの軽作業からスタートできるため、専門知識がなくても安心して働けます。経験を積むことで、より高度な工程や機械操作を任されるようになります。
Q5.鋳物工場で取っておくべき資格は?
A5.鋳物工場で役立つ資格には、玉掛け技能講習・クレーン運転士・フォークリフト運転技能講習などがあります。これらを取得しておくと、安全管理や製品搬送などの作業を任されやすくなり、昇給・昇格にもつながります。企業によっては資格取得支援制度があり、働きながら取得を目指すことも可能です。
Q6.鋳物工場は将来性がありますか?
A6.鋳物産業は、国内の製造業を支える基幹分野のひとつです。自動車や建設、エネルギー設備など幅広い産業で需要が続いており、今後も安定したニーズが見込まれます。
さらに、AIや自動化技術の導入が進むことで、作業効率や安全性が向上し、新しい働き方も広がっています。技術を磨き続ければ、将来的にも長く活躍できる分野です。
まとめ
鋳物は、ものづくりを支える奥深い金属加工技術です。日常生活のあらゆる場面で使われています。
鋳物工場で専門性を磨けば、長く安定したキャリアを築けます。
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